
護摩焚き
護摩焚きは、平安時代から続く神聖な火の儀式です。
弘法大師と最澄の深い哲学の教えに基づく、炎とお祈りで心身を浄化し、
生命の力を呼び覚ます特別なひとときです。



西光禅寺の護摩焚きは毎月新月の日に行われます。
新月から満月、再び新月へと続く自然の循環は誕生、死、そして再生を象徴します。
新たな始まりのエネルギーをもたらす新月の時期に合わせて、心身健康と家内安全の祈りを捧げます。



参加者は燃え上がる炎で、脳からアルファ波が発せられ、深いリラクゼーションに包まれます。
内なる奇跡を呼び覚まし、無限の可能性に気づき、その力を現実にしていきます。



ヒロシマという地から、西光禅寺の護摩焚きを通して、世界平和を祈りましょう。



撮影: 今村久仁生
若水:西光禅寺では、毎月新月の時に護摩焚きの行事があると聞いておりますが、護摩焚きとはどのようなイベントなのでしょうか? 和尚:護摩焚きは、火を用いて生命の継承と祈りを捧げる宗教的な儀式で、参加者の心身の健康や家内の安全をお祈りをし、皆様の内なる力を引き出し、霊体を元気にするものです。そして、私の場合、世界平和の祈願もいたします。 若水:どうして新月の時ですか? 和尚:新月から満月、また満月から新月に戻るまでの約28日間、私たちの命や自然のサイクルが育まれていることを象徴しています。新月の時には、新しい命が生まれやすく、物事が始まるエネルギーが高まるとされています。このタイミングで護摩焚きを行うことで、新しい命の誕生や再生の力を祈りに込めることができます。 若水:なるほど。昔から火は神聖なものとして扱われてきたんですね。その背景についてもう少し詳しく教えていただけますか? 和尚:そうですね。昔のメソポタミア時代やネアンデルタール人も、火を神聖なものとして扱ってきました。火を起こすことで、私たちの食べ物を調理したり、日常生活を支えたりするだけでなく、敬う心と結びついた儀式が行われてきたのです。この儀式には、火が持つ神秘的な力を感じ、それを敬う意味があります。 若水:護摩焚きの作法や使用する木などを教えてください。 和尚:護摩焚きの作法については、弘法大師が伝えた真言宗の護摩と、最澄が伝えた天台宗の護摩という2種類の方法があります。どちらも火の神様を迎え、祈りを捧げるという点で共通しており、それぞれの宗派の特色を生かした独自の作法を持っています。特に平安時代以降、日本ではヒノキが護摩焚きに使用されることが多くなりました。ヒノキの葉や枝を乾燥させて燃やすことで、その香りや煙が祈りの力を増幅させるとされています。 また、護摩焚きの際には、水と火を使った儀式も行われます。例えば、梅の木の枝を少し切り取り、それを火に注ぐことで、火と水の調和を象徴する音が生まれます。この音は、仏の声と捉えられ、儀式の中で重要な役割を果たします。 若水 護摩焚きの前日の夜、和尚はいつも観音薬師堂に泊まっているとお聞きしていますが、どうしてですか? 和尚: 何か大切な儀式を行う数日前に、お肉やお酒などをやめて、心身を清めて備えることがあります。私はもともとビーガンですから、食事はそのままですが、心を静めて、真言を唱えるときにすぐでも空になれるように、普段の生活空間から離れて過ごします。 若水 炎が燃え上がるときに、その火は仏陀に見えたり、観音様に見えたりします。和尚はそれに気づきましたか? 和尚: 写真を見ると、そのようですね。今村カメラマンの腕に感心します。儀式の間、私は無心になっているから、真言を唱えているのも自分じゃない感覚です。何も気づいていません。 若水:現代の多くの人々が不安ストレスを抱えていますが、護摩焚きはそのような人々にも効果があるのでしょうか? 和尚:護摩焚きに参加することで、脳からアルファ波が発せられます。アルファ波とは、リラックスした状態で脳から発せられる脳波であり、ストレスを軽減し集中力を高める効果があります。このため、護摩焚きは参加者の精神的なリラクゼーションを促し、心の平穏をもたらしたと考えられます。 若水:私はリラックスというよりも、心から勇気が湧いたような気がします。 和尚:護摩焚きは、火を通じて生命力を高め、内なるエネルギーを引き出すことを目的とした儀式です。奇跡を引き起こし、私たちの人生に良い変化をもたらす力を持っています。 若水:護摩焚きは奇跡を引き起こすとも言われていますが、それはどのような意味でしょうか? 和尚:私たち皆、一人ひとりに奇跡を起こす力があります。それは和尚が起こすのではなく、護摩焚きを通じてその潜在能力に気づくきっかけとなることを願っています。 若水:今日は貴重なお話をありがとうございました。 和尚:こちらこそ、ありがとうございました。